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2025.08.29 農業でのカーボンドットの活用
トマトの塩耐性向上を狙ったSpd-CDs駆動の呼吸バースト酸化酵素ホモログ/ポリアミン酸化酵素依存性HOシグナル伝達分子工学
Spd-CDs-driven respiratory burst oxidase homolog/polyamine oxidase-dependent HO signaling molecule engineering for salt tolerance in tomato
カーボンドットは、現在、安全で環境に優しい素材と見なされている。スペルミジンカーボンドット(Spd-CDs)は、非生物的ストレスの新しい農薬として使用されてきたが、塩ストレスの詳細な研究は依然として不足している。ここで、Spd-CDsの葉面散布はトマトの耐塩性ストレスを改善し、その効果は濃度に依存していた。Spd-CDs(3.0 mg / L)を与えたトマトの苗木は、120 mM NaClの7日間曝露後に、対照よりも草丈、PSIIの最大量子収率、正味の光合成速度が高かった。分子的な事象として、Spd-CDsが呼吸バースト酸化酵素ホモログ1(rboh1)とポリアミン酸化酵素5(pao5)の発現を誘導し、これによりHO分子の生成を促進し、塩ストレス耐性を付与することが示された。RBOH1とPAO5依存性のHO分子生成の役割はrobh1およびpao5変異体で内因性HOレベルを操作して評価した。Spd-CDsが介在する耐塩性のHO 調節は、鉄欠乏症の減少、イオン恒常性の維持、および根から芽までのNa+負荷の減少によって明確に示すことができた。まとめると、RBOH1 および PAO5 タンパク質によって産生される ROS シグナル分子は、Spd-CDs による耐塩性の制御に関与していた。これらの知見は、Spd-CDsが塩分ストレス下での植物の性能を向上させ、食料安全保障と品質を向上させるための効果的かつ耐久性のある戦略であることを示している。
© 2025 The Authors. Published by Elsevier B.V. Creative Commons Attribution 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.ijbiomac.2025.141680
Yang Xian , et al.
International Journal of Biological Macromolecules, 2025; 306(P4)
doi:10.1016/j.ijbiomac.2025.141680

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