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2025.12.26 妊娠中の塩分取りすぎに注意!!
Maternal high-salt intake induces sex-specific liver injury in offspring: integrative transcriptomic and therapeutic investigation
母体の高塩分摂取は子に性別特異的な肝障害を誘導する:統合的トランスクリプトーム解析と治療学的検討
はじめに:母体の食事は胎児の臓器発達の重要な決定因子であり、過剰な塩分摂取は長期的な代謝障害との関連性がますます高まっている。本研究では、母体の高塩分食(HSD)が子の肝臓健康に及ぼす影響を、性別特異的な構造的・分子的変化に焦点を当てて解析した。
方法:妊娠中のC57BL/6Jマウスを、妊娠期および授乳期に標準飼料群またはHSD(4% NaCl)群に分け飼育した。生後4週齢で、子の肝臓を、組織学、RNA配列解析、免疫蛍光法、生化学的アッセイにより解析した。治療候補化合物の同定には結合マップ(CMap)を適用した。
結果:母体のHSDは子の肝重量および肝細胞サイズを有意に増加させ、その影響は雄でより顕著であった。RNA配列決定により、雄で466個、雌で309個の差異発現遺伝子(DEG)が同定され、代謝、線維化、炎症、アポトーシスに関連する経路の性依存的な調節異常が示された。マッソンのトリクローム染色は、特に雄において線維症のトランスクリプトームシグネチャーと一致して、コラーゲン沈着の増加が認められた。免疫蛍光法によりアポトーシス関連マーカーの発現亢進が確認された。CMap解析によりケトプロフェンやBRD-K88741031などの潜在的治療薬が同定され、予備検証でHSD誘発性肝障害を軽減した。
考察:母体の高塩分摂取が子に性特異的な構造的・分子的肝損傷を誘導し、肝疾患の原因が発達期にあることを強く示している。本知見は母体栄養が子の肝機能健全化に重要であることを強調するとともに、発達初期での食事的障害に対抗し得る薬理学的戦略を示唆する。
© 2025 Chen, Chen, Song, Wang and Wu. Creative Commons Attribution NonCommercial 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/).
https://doi.org/10.3389/fnut.2025.1657934
Chen Xiuli , et al.
Frontiers in Nutrition (Web) , 2025;12,1657934
doi:10.3389/fnut.2025.1657934

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