研究情報
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2025.10.31 土中の塩結晶、風が吹いたら…
多孔質媒体からの塩水蒸発と表面塩結晶化ダイナミクスにおける風速の役割
The Role of Wind Velocity in Saline Water Evaporation from Porous Media and Surface Salt Crystallization Dynamics
この研究では、多孔質媒体における蒸発ダイナミクスと塩結晶化パターンに対する風流の影響を体系的に検討する。実験室の風洞で十分に制御された実験が行われ、淡水と濃度 10%、15%、および 20% の NaCl 溶液で飽和した砂柱の表面に、それぞれ層流と乱流領域に対応する 0.5 m/s と 5 m/s の風流を作用させた。サンプルからの質量損失測定と表面の光学イメージングを組み合わせることで、明確な蒸発ダイナミクスと結晶化パターンが明らかになった。断続的な乱流と表面の進化する塩結晶との相互作用により、比較的均一な結晶化パターンが生じることを観察した。対照的に、層流条件下では、特に低塩濃度において、塩結晶の核生成と形成は主に試料の前縁で発生した。さらに、結晶被覆率と表面の横方向の範囲を定量化することにより、風の存在下での蒸発質量損失の増加が結晶化ダイナミクスに及ぼす影響を調査した。乱流条件下において、表面を塩結晶で完全に覆うには、10% NaClサンプルでは15%および20%サンプルに比べ、それぞれ2~3倍の蒸発損失が必要であることを観察した。これらの知見は、変化する気流条件下における蒸発と結晶化プロセスの複雑な相互作用を浮き彫りにしており、水文学および気候学モデリングの改善に向けた貴重な知見を提供する。
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https://doi.org/10.1021/acsearthspacechem.5c00130
Jannesarahmadi Sahar , et al.
ACS Earth and Space Chemistry , 2025;9(7)1938-1945
doi:10.1021/acsearthspacechem.5c00130

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