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2026.04.30 しょっぱい砂漠で生物を育てるには?
界面活性剤と超分岐型PVAc共重合体エマルジョンの相乗効果により高塩分影響を受けた砂地における生態学的砂固定が可能となる
Synergy of surfactants and hyperbranched PVAc copolymer emulsion enabling ecological sand fixation in high salt-affected sandy land
塩分濃度の高い砂地における塩の結晶化による被害の影響を軽減するため、本研究ではまず3種類の界面活性剤(SDS、L23、CTAB)の耐塩性、NaClの結晶化挙動への影響、砂質土壌中の微生物増殖への影響を評価した。続いて、さらなる調査のために界面活性剤L23を選別した。その相互作用の重要性を踏まえ、塩分濃度の異なる条件下での砂粒子表面へのL23の吸着特性を体系的に調査した。さらに、異なる量のL23および3%のNaClを加えた後のエマルションの物性や形態の変化も分析した。最後に、L23エマルション複合材料の砂固定性能(圧縮強度、風侵食耐性、熱老化安定性、凍結融解安定性、保水性を含む)の包括的な評価を行った。また、その生態学的影響を解明するため、塩性砂漠における植物および微生物の成長促進効果を評価する野外実験を実施した。実験結果はL23が砂質土壌中の塩の結晶形態を効果的に制御することを示した。耐塩性のP(VAc-DBM-AA-AM-IA-HBP)超分岐エマルションに組み込まれると、L23はその機械的特性を大幅に向上させた。さらなる研究により、L23エマルジョン複合材料は、NaClの結晶化により砂固定化材料に生じる凝集損傷を著しく低減し、それによって砂固定効果を向上させることが確かめられた。また、この複合材料は優れた耐熱老化性、凍結融解安定性、保水能力を示し、それにより砂漠環境での温度変動にも耐えることが可能である。野外実験で観察された植物や微生物の良好な成長により、その信頼できる生態学的利点が裏付けられた。本研究は、塩性砂漠地域における砂漠化対策を目指す、生態学的砂固定材料の開発に向けた新たな戦略を提供するものである。
© The Author(s) 2025 Published by the Royal Society of Chemistry Creative Commons ATTRIBUTION-NONCOMMERCIAL 3.0 UNPORTED
(https://creativecommons.org/licenses/by-nc/3.0/).
https://doi.org/10.1039/d5ra07386c
Gong Wei , et al.
RSC Advances (Web) , 2025;15(56)48363-48380
doi:10.1039/d5ra07386c

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