研究情報
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2026.03.31 窮地に立たされた際の味覚と嗅覚は?
南極での1年間の極度の隔離が嗅覚および味覚機能に与える影響
Effects of one year of extreme isolation in Antarctica on olfactory and gustatory functions
味覚と嗅覚は、特に孤立・閉鎖・極限(ICE)環境において、食物摂取と適切なエネルギーバランスの維持に不可欠である。南極のコンコルディア基地での低酸素状態、低湿度、および化学感覚への刺激の制限は、味覚と嗅覚の機能を損なう可能性があるが、これに関する研究は依然として乏しい。味覚および嗅覚機能が南極コンコルディア基地での2回の越冬ミッション中に19名の参加者(39.2歳±10.9歳)で評価された。検査は出発6週間前、隔離中に3回、隔離後6か月後に実施された。味覚機能はODOFIN Taste Stripsを用いて、嗅覚機能はODOFIN Sniffin’ Sticksを用いて評価された。さらに、主観的な感覚に関する報告も収集された。隔離中に嗅覚低下が増加し、嗅覚識別の低下傾向(p = 0.054)が見られ、限られた追跡データでは回復の明確な証拠は得られなかった。味覚減退は、主に隔離期間の中盤から後半にかけて上昇した塩分感受性低下の発生率(p=0.036)と呼応し、遠征終了後にはベースラインレベルに戻った。主観的評価は、心理物理学的検査結果と部分的にしか一致しなかった。コンコルディア基地での1年間の滞在は、極限環境に対する味覚と嗅覚の感受性に注目することで化学感覚反応には個人差のあることを明らかにした。因果関係はまだ明確ではないが、これらの知見は極限環境や日常生活の制約された環境下では化学感覚機能の調整が必要なことを強く示す。
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https://doi.org/10.1038/s41598-025-16900-x
Klos Bea , et al.
Scientific Reports , 2025;5(1)32369
doi:10.1038/s41598-025-16900-x

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